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SPECIAL

インタビュー

フレスコボールは「人生のラッキーアイテム」!日本代表・宮山選手が語るフレスコボールの魅力

コミュニケーションを図れる新しいスポーツとして話題の「フレスコボール」。
以前NEWSPOのスタッフも「協力していくラケットスポーツ」としてHP内の記事で紹介しています。

今回はフレスコボールジャパンオープン2020で優勝され、日本代表としても活躍している宮山有紀さんにインタビューさせていただきました。
プレイヤーとしても、指導者としての顔も持つ宮山さん。
そんな宮山さんからコミュニケーションスポーツと言われているフレスコボールの”魅力”について、伺っていきます!

 

~そもそもフレスコボールって?~

本日はよろしくお願いします!
まずは、今まであまり聞いたことのなかったフレスコボールについてお伺いしたいのですが、ペアでのラケット競技ですよね?

 

宮山さん)はい!フレスコボールはブラジルのリオ・デ・ジャネイロ発祥のビーチスポーツで、味方同士ででボールを落とさないようラリーを行います。ペア競技というのが他のラケット競技と違うところで、2人が味方同士でラリーをつなぐというところが一番の魅力です。味方同士なので、ずるさとかではなく相手との意思の疎通であったり、練習を重ねて息を合わせれば合わせるほどレベルが上がっていくっていう、本当に2人でつくっていく奥深さがある競技です。

 

素敵ですね!高めあいのスポーツという感じですね!

宮山さん)そうですね。ずるいとか人を負かそう、という気持ちが無いので、どんどん笑顔が増えてみんなはまりこんでいくというか、競技自体もそうですがコミュニティにはまっていくというか。
みんなで技術を高めあって「ありがとう」を言い合う文化があるので、温かいコミュニティができていきやすいのかなと思います。

 

人との繋がりをどんどん深めていけるようなスポーツということですね!!

 

宮山さん)そうなんです!もちろん試合になればペアごとにライバルですし、得点を競うんですけど、練習は相手ペアと一緒にすることもあります。試合ではライバルであっても、練習中は「ありがとう」や「ナイス!」も言うし、すごい温かい輪が広がるスポーツです。

 

とても素敵なスポーツですね。
以前はソフトボールをされていたとのことですが、
そこからフレスコボールを始めるに至ったきっかけはなんだったのでしょうか?

宮山さん)きっかけは完全に大学の同期です。私は中高大でずっとソフトボールをしていたんですが、大学の同期が、関東にフレスコボールが入ってきてほやほやのときに始めていて。私も知らないスポーツで優勝したり、日本代表になったり、ブラジルに行ってきたりして、「え、なにしてんねん???」って。世界が広がっている姿を見たんです。「日本代表なんて今からなれんの?!」みたいな。そういう憧れと、その子ができるんやったらあたしもできる!みたいなところもあって…

 

確かに、同期だからこそですよね…!

 

宮山さん)日本代表にもなりたかったし、たまたま同期が関西に来る予定があったので(宮山さんは関西在住)、その時にやらせてもらったらすごく楽しかったし、うまく続いたのでこれはいけるぞ!と思って笑

 

日本代表も夢じゃない!(笑)

 

宮山さん)そこから同期きっかけで始めました!

~フレスコボールの魅力~

そこから継続してきたフレスコボールの魅力とは?

 

宮山さん)関西でフレスコボールを始めてから、今のペアの風味千賀子選手と組みました。2人で練習するようになって、大人になってからも練習して上手くなっていくことがまずは嬉しくて。
新しいことが身についてできるようになった。そしたらまた楽しい、もっとうまくなりたい、もっと楽しい!という、自分にプラスの影響があるのが分かりました。
フレスコボールを始めて色々な人との出会いもありました。シンプルに競技が好きで楽しいっていうのと、新しい世界が広がっていくワクワク感がすごいあったんです。それがたまたまフレスコボールやったと思うんですよ、私は。

 

なるほど!フレスコボールを通してプラスの連鎖のようなものが生まれるところが、面白さや継続につながった魅力の部分だったんでしょうか?

 

宮山さん)そうですね。それと、競技中、失敗したら申し訳ないって思うこともあるんですけど、ラリーを続けるうえでその失敗が逆に相手のナイスプレーやったりするので。ごめんやけど次の瞬間に「ありがとう!」や「ナイス!」になっていたりします。
「ごめん」がすぐに「ありがとう」に変わるのが面白いところです。
本当に助け合っていく競技で、「ごめん」って思った瞬間に相手がとってくれてたら、ボールが返ってくる頃には「ありがとう」って思えているみたいな。

 

温かい競技ですね…!!!
競技を始めた当初は、楽しいだけではなかったのではと思うのですが、どのように進んでこられたのでしょう?

 

宮山さん)3年前くらいに初めて大会に出たんですが、まだまだペア数も少なかったので3位になったんですよ。ただ、結果でこそ3位ですが、その時の1位と自分たちとの間には雲泥の差がありましたで。それが燃えるきっかけにもなって、1年目最後の大会のジャパンオープンで優勝しました!

 

かっこいい~~~!!!!(一同歓喜)
優勝した時の勝因はなんだったんでしょう?

 

宮山さん)さっき高めあって温かいスポーツと言ったものの、やっぱり大会になれば得点を伸ばさないといけない。1位になるためにどこが弱いのかなど点数で見て、他のペアと比べたり分析したりしていました。勝つためにはここ伸ばそうっていう、真剣に競技面での話し合いをしながらやってました。

 

~仲間の存在について~

先ほどのお話に出てきた風味選手とは、フレスコボールを始めたときからずっとペアを組んでいるんですか?

 

宮山さん)はい。私がフレスコボールを始めたとき、その時点で風味千賀子選手は日本代表やったんですよ。ただ、関西でペアを組んで試合に出るってなったらその人に頼むしかなかなくて。日本代表やったんで「こんな初心者と組んでください」って言うのは、勇気がいったんですけど快く返事してくれて、私も組みたいと思ってた!って言ってくれて。

 

えええ~!素敵!!
”日本代表”に対してビビるというか、躊躇するというのはなかったんですか?

 

宮山さん)ビビるはなかったんですけど…風味選手も結婚を機に関西に帰ってきてて。その時は関東のほうがフレスコボール人口が多くて関西はこれから、というような状況だったんです。
でも、風味選手に対して、関西に帰ってきたからあかんくなったなみたいな風には見られてほしくなかったんです。それまでは日本代表やったのに、今年は関西帰ったから、初心者と組んだからだめやったかぁ、っていう風に思われてほしくなくって!
関西でも頑張ってるな!いけるな!と思われる存在のままでいてほしかったので、そうなるためには自分も一緒にそのレベルに到達せなあかんと思っていました。練習するしかないなと、そこからの時間はフレスコボールにぐん!と振り切りました。

 

コミュニケーションが大切な競技で、ペアを組んでから3年間、どのように関係性を築いてこられたんでしょうか?

 

宮山さん)組み始めた当初は、組んでもらっているなって思っていました。1年目に優勝するまではそういう思いが大きかったかもしれないです。
でも、日本で優勝してからブラジル大会に出場して、自分たちの思うようなプレーができずめちゃくちゃ悔しい思いをしてから、その人に追いつくために頑張ろうって気持ちが深まりました。
そこからさらに、一緒に勝ちたいなという目標が明確になってから、その目標達成に向けて自分たちは何ができるんだろうっていう話し合いも増え、練習の質も上がりました。
「千賀子と勝つためにやる」みたいな気持ちができたので。
3年続いてるのは、そもそも波長が合うから。でも「友達」ではなく「ペア」っていつも言ってます。

 

それは、感情を共有するのではなく、お互い結果を見て切磋琢磨していく同志のような関係性でしょうか?

 

宮山さん)そうですね。かといって競技だけで繋がっているわけでもなく。仲いいねっていうのは周りからよく言われるんですけど、仲良しこよししているつもりもなくて。
でも結局、「一緒に勝ちたい」っていう想いはどのペアよりも強い自負はあります。
なんでペアでずっとやってこれたかって聞かれたら、お互いの熱量が同じくらいだから。目標達成に向かう熱量やかける時間、想いが同じだからやれている。そこがペアでうまくやっていける秘訣かなって思ってます。

~プレイヤーの顔と教育者としての顔~

現在フレスコボールの日本代表プレイヤーとしてだけでなく、小学校の先生という教育者としての顔もお持ちですが、競技を教える・普及する側として意識されていることはありますか?

 

宮山さん)なにかを教えるときには、積極的に褒めることを心がけています。やっぱり褒められると嬉しいじゃないですか。フレスコボールしているときも、ただただ技術を教えられているだけでは楽しくないことがあります。会話しながら「ナイスプレー」と声を掛けられたほうが楽しいです。ただ黙々とスポーツするよりも、時間や相手、空間も楽しむことでよりプレーしたくなると思います。

 

宮山さんご自身もそのように教えてもらって、上達してきたんですか?

 

宮山さん)はい。私の師匠がいるんですけど、「ナイスナイス~!」、「グッド~!」って、誉め言葉をシャワーのようにあびせてくれるんです。私なんかってネガティブなことを思うよりも、よし私にもできるできる!ってポジティブな思いを積み重ねてきたことが上達にもつながっていると思います。

 

肯定されてるのって嬉しいですよね~!
もっと頑張ろう、楽しいからまたやりたい、と自然となりますね。

~ハードな毎日の原動力~

宮山さんは教員として勤務されながらフレスコボールの練習や普及活動のために全国を飛び回るというハードな毎日ですよね(笑)

 

宮山さん)はい、休みなく毎日(笑)

 

その原動力になっているものは何なんでしょう?

 

宮山さん)原動力…。フレスコボールはもちろんしたいです。でも、そのせいで目の前にいる子供たちを疎かにする自分は許せない。どっちもやりたくてというか、どっちも好きなことなので。欲張りですけど(笑)
正直しんどいなーと思うこともあります。毎日練習しまくって、朝出勤したら大量の丸つけがあってしんどい!って思うこともあります。でも、子供たちが集まってきたらやっぱりさぼられへんなと。しんどいな、とのせめぎあいではあるんですけど、中途半端は嫌なので、がんばろう!って。欲張りたい気持ちが原動力になっているのかもしれません。

 

それだけ一生懸命やっている中うまくいかないときや、手放したくなるときはありますか?

 

宮山さん)月曜日の朝は思います(笑)実は、まさに最近、大会でうまくいかないことが続いていまして。風味選手と3年目のシーズンを迎えたんですが、去年はコロナの影響で1年間ほとんど大会がありませんでした。ブラジルにも行けなかったので、もう一度日本代表になってブラジル選手権に行って勝とう!という目標を掲げていました。
ただ、1年目で優勝してそれが当たり前になって、3位までは入賞できるだろうなみたいな気持ちもありました。たぶん、無意識のうちに甘い部分が出てしまっていたんやなって最近風味選手とも話してたんです。
だから今は、本当に技術に向き合って、とことん技術を磨くしかないなって。2人やったらできるやろ、という曖昧なものではなく、確実な技術を身に着けていかなあかん、て、どん底から這い上がっているようなところです!
キーワードは”やり直そう!”です(笑)

 

建て直しの時期に入っているってことですね!
その向上心のようなものはずっと持っていたのものなんですか?

 

宮山さん)向上心というか、負けず嫌いなんです(笑)
今までスポーツをしてきた中で、できないのがすごく悔しかったり、できたときの嬉しさや達成感も知っています。最初はできなくても努力を継続することでできるようになるだろうし、もっとうまくなれるだろう、っていう自分への期待を持ちながらやっています。

 

~ラッキーアイテムで叶える夢~

今後、フレスコボールをどんな風に広めていきたいですか?

宮山さん)ひとつは競技としての魅力をもっと伝えていきたいです。競技が楽しくてやっている人が多いと思うんですけど、参加方法はいろいろあると思っていて。やっても楽しいし、見ても楽しいし、自然とプレイヤーの応援もしたくなるような、競技面ではそういうスポーツにしたいです。
もうひとつは人を繋げていきたいと思っています。家族のスポーツにしたいと思っていて、私の父が70歳手前なんですけど、フレスコボールを一緒にプレーできるんです!サッカーやテニスだと体力が落ちていくとやろうってならないんですけど、フレスコボールは相手が取りやすいところに打ち返すのが基本なので、最小限の動きでラリーを続けられます。親子の会話の糸口になったりもするんです。

 

心は伝わるというか!(笑)

 

宮山さん)あとは、学生時代に部活で運動していても、社会人になった途端に運動する機会が減った人、でも運動したいと思ってる人って多いと思います。ランニングはしんどいとか、いろんな条件がそろわないとなかなかスポーツって続かないと思うんですけど、フレスコボールは軽くやる分にはそんなにしんどくないですし、ボールとラケットだけあれば2人でできます。そのお手軽さが運動に飢えてる社会人に響けばもっと広がるんじゃないかなって思います。
やっぱりスポーツって、運動って楽しいなって!
ワクワク感を取り戻したい人っていっぱいいると思うので、そう人たちにフレスコボールをしてもらえたら。そんな風にフレスコボールが広まっていけば嬉しいです。

 

現在教員でいらっしゃいますが、教育者としての観点からのビジョンはありますか?

 


宮山さん)個人的には今後、学校や企業に出前講座のような感じで出向けたらなぁと思っています。
それこそコミュニケーションであったり思いやりであったり、子供たちに育んでもらいたい心だと思うので、成長の一助になる可能性もあるんじゃないかと思います。
学校だけでなく企業でもコミュニケーションは一番の土台の部分やと思うので、企業のレクリエーション、研修みたいなこともできればと思います。競技じゃない魅力も発信していきたいです。

 

最後に、月並みな質問ですが、宮山さんにとってフレスコボールとは?

 

宮山さん)人生のラッキーアイテムです!
アイテムがあれば自分の力になると思いますし、アイテムくらいが丁度いいんかなって
フレスコボールに全力をかけてはいるんですが、フレスコボールがないと生きていけないというのはよくない。現状はフレスコボールがないと生きていけないくらいの気持ちではあるんですが(笑)
自分にプラスするアイテムくらいで丁度いい。そのラッキーアイテムをうまく使って、冒険できたらいいなって思います。


宮山さんの夢を、私たちも全力で応援できたらと思います。

本日は本当にありがとうございました!