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インタビュー

【NEWSPOインタビュー】e-Ninja 荒木 崇さん

皆さまは、『e-Ninja』という競技をご存じでしょうか。

世界初のレーザー手裏剣を使用した、次世代忍者スポーツ!

コロナ禍にも対応した、これから「来る」こと間違いなしのこの競技について、運営元である一般社団法人NinjaTAG協会代表の荒木 崇さんにお話を伺いました。


―こんにちは。本日はよろしくお願いします。
 早速ですが、e-Ninjaを立ち上げた経緯といいますか、作られたきっかけを教えてください。 

荒木さん)もともとは、サバイバルゲームで使うレーザー銃を扱うメーカーさんから何か銃以外の物を作りたいと相談されたのが始まりです。自分が三重県出身で忍者市伊賀につながりがあったことや、今後のインバウンド需要なども見越して、「忍者と結び付けて手裏剣型にすれば面白いのではないか」と思い、開発しました。そして、このレーザー手裏剣を使った競技を次世代忍者スポーツ「e-Ninja」としてリリースしました。

―そうした最新の技術に普段からアンテナを立てていらしたんですか? 

荒木さん) いえ、全く無いですね。もともと20年テレビ局で働いていまして、そこで新規ビジネスに携わるうちに独立起業したんですが、根っこにあるのは『面白いこと』『楽しいこと』がやりたいというところで、「レーザー」とかそうした仕組みにこだわっていたわけではなかったです。

 

 ―忍者×スポーツというのはなかなか今までに無い画期的なアイデアだと思うんですが、スポーツをされてきた経験などはおありなのでしょうか? 

荒木さん) 野球が大好きでした。なんですが、なぜか中学では卓球部に入り、高校では何もやっておらず、特にスポーツマンだったというわけではないです。

 

―e-Ninjaの開発にあたって、大変だったことも沢山あると思うんですが、乗り越えた経験などあれば教えてください。 

荒木さん) そうですね、いっぱいありましたよ(笑)。ハード・ソフトの両方を一から全部創ってきたので、大変なことは色々ありました。

まず、「レーザー手裏剣を作ろう」という発想から、なぜe-Ninjaというスポーツにたどり着いたかというところからお話しすると、

はじめは販売するというアプローチで、大手のおもちゃメーカーさんに持ちかけたりもしましたが、市販できる価格にするためには数十万個という単位での大量生産の必要があり、それほど売れるだけのコンテンツにするには「忍者」だけでは弱い。「+『何か』」が要る。ということがありました。

そもそも、作って販売するだけでは単なるメーカーになってしまう。僕としては「面白いことがやりたい」わけなので、それではうまくない。

じゃあどうしたらいいかというと、運営する側になったほうが面白いなと。

運営するとなったとき、それを遊びにするのか、スポーツにするのか。という選択があります。

日本で「忍者」というと、集まるのは小学生になるんですね。大人はなかなか恥じらいなどもあり、貸衣装なども着ないですし。

イベントなどに呼ばれて行っても、来るのは親子連れで、プレイするのは子供たちということが多い。

 

また「遊び」だと、「楽しかった」で終わってしまって、なかなか「次もう一回やりたい」というモチベーションを作るのが難しい。

僕としてはもう少し大人の方に、ルールや戦略を理解した上で楽しんでいただきたいという思いがありまして。

スポーツ、特にニュースポーツの場合、老若男女が同じスタートラインからみんなで楽しめるという魅力もありますし。

ただ、スポーツにしていくなら、やはり大会を開きたい。大会を開くには、ファン、参加者、プレーヤーを育てないといけない。プレーヤーが集まってこないと、広告費が入ってこない。つまりマネタイズまでに時間がかかる。そこまで運営していくためにどうするかというと、これは毎週末イベント開催を通じて運営費を稼いでいくしかない。

なので、「遊び」として色んなイベントを通じてお金をつくりつつ、コツコツファンを増やしていって、いつかは地方大会があって、全国大会の決勝戦を伊賀の天守閣でやる―ということを考えています。

―めちゃくちゃいいですね。 

荒木さん)そしてさらにどんどん広がっていくと、いずれは世界大会に……と。ちょっと遠い話になりますけれど、世界の人が日本に興味を持って、「日本に来たら伊賀に行きたい」ということになれば、地域活性化にも繋がるなと。

で、ここからが大変だった話になるんですが、苦労したことのひとつはハード面。手裏剣の型が、最初はぶ厚かったり、意図した動きが再現されなかったりと、試行錯誤を繰り返しました。5号機あたりで行き詰っていたとき、マウスのホイールからひらめき、改修を重ねて8号機ができたのがGWの話です。

あと、一番の課題は「見えない」ということでした。

わかりやすく「レーザー」と銘打ってはいるんですが、実際に飛ばしているのは赤外線でして。なので、いうなればリモコンで打ち合いをしているようなものなんです。

つまり、軌道が目に見えない。だから、惜しかったのかどうかなどもわからないし、狙いがつけにくい。

この「見えない」というのが実はすごい弱点で、やっている人はともかく、見ている人にとっては面白くない。スポーツって、見ている人も楽しめるかというのも重要で、それがないとオーディエンスが引き込めない。

例えばHADO(*)さんなんかも同じ課題があったと思うんですが、あちらは、ARやVRを導入することで対応された。

*HADO:https://hado-official.com/

それでは僕らは、というと、考えているのは「プレイヤーの動きによって表現する」ということです。例えば、身体能力の高い人が、すごいところから飛び降りて避けたりとか。そうした、プレイヤーの動きによって見ている人も楽しめるようなルールやシチュエーションを作っていけたらなと思っています。

―とても興味深いお話です。

荒木さん)5年間毎晩考えてますからね(笑)

 

―スポーツというか起業的な話になってしまいますが、e-Ninjaという世に無い物を、仲間を巻き込んで作り上げてこられた過程で乗り越えたことなどお聞きできれば。

荒木さん)外国人からみたとき、忍者に「伊賀」とか「甲賀」とか関係なく、「日本=ニンジャ」という見え方をしていると思っています。何なら沖縄にだって忍者がいると思ってるんじゃないかと(笑)

なので、伊賀・甲賀・風魔など関係なく、All-Japanニンジャとして日本を巻き込みたいと思っています。

幸い、勝算があったのは、伊賀の友人で地域で信頼を集めている有力者がいたのと、自分もTV局の経験を通じて人脈があったので、まずは「伊賀」というブランドを持つことができたこと。

また、伊賀という地方も、何かをやるにしても地元内で完結してしまい、東京との接点がないのが課題だったため、自分が東京に、仲間が伊賀にいて、互いに連動させるというのを機能させています。いうなれば「分身の術」みたいなね(笑)

これ、「乗り越えたこと」の答えになっていませんね(笑)

―いえいえ、ありがとうございます。
 あと月並みな話になってしまいますが、荒木さんから見た、e-Ninjaの魅力とはなんでしょうか。

荒木さん)これ(レーザー手裏剣)を人に見せるときは、「伊賀で開発した秘密兵器」とかいうんですけど、実は僕はこれは「戦うツール」ではなくて、最強の「コミュニケーションツール」だと思っているんです。

これによって、お父さんと子供が、また、忍者衆とお客さんが、自然にコミュニケーションをとることができる。

今までは忍者衆はショーをするだけ、お客さんはショーを見るだけ。それが、このレーザー手裏剣を通じて、お客さんと忍者衆が一緒に楽しめる。

もっというと、今日の出会いも、「レーザー手裏剣」があったから起きていて、僕はこれを通じて沢山の人とあえて、世界が広がっている。そういう意味でも、最強のコミュニケーションツールだと思っています。

 

―大変素敵なお話でした。話は変わりますが、学校などの建物内で、例えばかくれんぼしながら戦うという妄想が浮かんだんですが、荒木さんのなかで大会構想などあったりするでしょうか。

荒木さん)前回どこまでお見せしたかわからないんですが、これが弊社のプロモーションビデオです。伊賀忍者と女子高生が戦うという。

【レーザー手裏剣バトル】e-Ninja PV(ミドル.ver)

これはあくまでイメージなので、見えない赤外線の部分はVFXで後で加工しています。

また、レーザー手裏剣のほかに、狙った的に当てるシューティングゲームなどもありまして。このあいだ日光江戸村さんでやったイベントでは、このシューティングゲームを活用し、江戸村の上忍と対戦できる企画をやりました。お客さん対上忍で、忍者の攻撃を隠れたりしてかわしながら、的に当てるという趣向でした。

【e-Ninja】伊賀忍者フェスタ2019

 

この対戦の仕組みは、パッケージとして海外にも売り込みたいと思っています。

また、もともとレーザー手裏剣はレーザー銃と同じレンズを使っているので、銃と手裏剣で対戦もできるんです。
で、レーザー銃を作っている会社がまた面白くて、元自衛隊のスナイパーで、今も予備役で狙撃の訓練をしている本物のスナイパーなんです。そこで、一回「自衛隊vs忍者」ということもやったんです。

それがこれなんですけど。

【元自衛官 vs 伊賀忍者】レーザー銃 vs レーザー手裏剣 の時空を超えたレーザーバトル

 

異種格闘技みたいなこともできるのも魅力の一つだと思っています。

 

―とてもいいですね。

荒木さん)何でもありというのが、イイところでもあり、悪くいうと散らかってるというか(笑)

僕はとにかく「楽しいことをやりたい」ので、楽しいかどうかを最優先して色々なことをやっています。ただ楽しい・オモロイだけだと食べていけないので、どうやって?何から?マネタイズしていくかを考えています。

―マネタイズは重要ですね。
 本日は素敵なお話をありがとうございました!

 

一般社団法人NinjaTAG協会 公式HP:https://www.ninjatag.jp/
公式X(Twitter):https://twitter.com/eNinja_jp