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インタビュー
全日本モトクロス国際A級の根岸瑞生選手が語るモトクロスの魅力とは
オフロード上に作られたコースをオートバイで駆け抜けるダイナミックなレース展開を楽しむことのできる競技、モトクロス。今回は全日本モトクロス国際A級の根岸瑞生選手にモトクロスの魅力やプロとして活動される中での想いをインタビューしてきました。
◯モトクロスを始めたきっかけはなんでしょうか?
5歳の時に始めて20年続けているのですが、元々は運動が全くできなくて、ボールも投げれないし、走るのも遅い。 興味があるのは電車だけ、といった中で親が心配してくれていろいろな習い事をやらせてくれた中でモトクロス に出会いました。
母が働いていた会社がたまたまモトクロスのチームのスポンサーをやっていて、 その会社の社長さんが「今度モトクロスチームで、バイクの子供向けの体験教室をやるみたいだから行っておいでよ」と教えていただき、そこでやってみた、というのがきっかけです。
◯瑞生選手はモトクロスに対してどのようなイメージを持っていたのでしょうか?
モトクロスはマイナーなスポーツでしたので、『バイク』と聞いてイメージしたのは、サーキットを走るようなバイクをイメージしていました。 『ポケバイ』と呼ばれるようなものですね。
実際に体験に行ってみると土の上を走るし、バイクの形も違うし、イメージと違ったので一瞬戸惑ったのですが、 乗っていく中でかっこよさに気づいていって、別のことはやらずに「やっぱりモトクロスでしょ!」となりました。
◯バイクでジャンプしたりと危ないイメージはあるのですが恐怖心はありますか?
恐怖心はあるにはあります笑
僕は自分の所属するチームのプロの方に教わったりしていたのですが、実際にやるとなるとすごい勇気が要ります!
やり方だけは教えてもらった甲斐もあってか怪我も少なくここまでやってこれました。
◯怪我も多い競技かとは思いますが、それを超える魅力があるからこそですよね
そうですね!
◯ではそのモトクロスの魅力とはどんなところでしょうか?
まず競技自体はスタート地点から、30台が横一線に並んで始まるのですが、
最初のコーナーの時に「誰も譲る気ないだろ」と思ってしまうくらいの緊張感と接触ギリギリの選手同士の駆け引きがあります。
安全面に配慮しているのですが、コースとお客さんの距離も近いので、レースの迫力を感じることができます。
選手側としても応援していただいているのが見えるので力になります。
あとは土の上を走るので一度使った走行ラインをもう一度使えるとは限らないんですね。
レース展開も変わっていきますし、最短距離が一番早いとも限らない。(※タイヤで土を掘るため凹凸が大きくなり走りにくくなっていく。)
選手同士のプレッシャーの掛け合いも魅力です。
モトクロスの魅力として中でも目を引くのはやはりジャンプですね!
高く飛んだり低く飛んだりという細かい技術にも駆け引きが現れているのも見どころです。
◯画面上では距離の近さがわからなかったのが意外でした!
そうですね、バイク(選手)の待機所、会場のコース以外の場所をパドックと言うのですが、そこを歩いているとちょっと覗けばすぐ見えるところにライダーもいますし、コースサイドを歩いていてもふらっと選手が歩いてたりするので気軽に声をかけて直接応援できたりと、ファンと選手が交流しやすい のも魅力です。
こちら側としても応援してくださる方を覚えやすいですね。 「あ、また来てくれたんだ」となってそれが嬉しかったりもします。
◯マシンは選手によってどんなこだわりの違いがあるんですか?
バイクの基本的な規格は一緒なんですけど、ハンドルポジションやレバーの角度だったりステップの高さ、タイヤ選び、座るシート の形など人によってスタイルがあります。 走りを見ていくとエンジンも違いがあって、「あの人いいところのを使ってるな」とか「ギアをすごい回して乗るんだな」とかそれぞれの音もわかるようになるとまた深くて面白いです。
◯モトクロスを続けていく中で困難にぶつかったりすることはなかったですか?
今でも怖くてスピードが出せないんですね。
それでもどこでタイムを縮めるかと言ったらジャンプを跳べるようにするだとかテクニックの部分を詰めています。
ジャンプを飛ぶか飛ばないかでタイムが1,2秒変わってしまうので、飛ばなきゃいけないという恐怖心はいつも乗り越えてきました。
高校生になってからはチームの監督がマシンづくりが好きで、より良くなるように突き詰めていたんです。
自分のマシンの改善が必要になった時に多くのテスト品を体験しました。
テスト品の良さを出すために、自分の走りではない走りをしてコメントを出して、というのを繰り返していたので成績は足踏みしていました。
そのおかげもあってテスト品に対してのコメントはすぐ出せるようになったのでマシンづくりは楽になりましたが、その時期はとてもつまらなく感じていました。
2〜3年は突破口が見つからず頭を抱えてました。
今もハイスピードコースは苦手ですし、常に何かしらの課題はずっとあり続けるものだと思っていてずっと辛いは辛いです。
すべてが吹っ切れて楽しいというのは稀で、マシンセッティングや自分の体調、コースコンディションなどすべてが自分の好み通りになることは人生で一度二度あるかないかでした。
ただ、その中でどう楽しめるかを自分の中で見つけていけると、選手として続けていけるのではないかと思っています。
人によって楽しめるポイントは違うと思いますが、自分は上手く乗れた時と、レースなので前に行けた時は楽しく感じます。
◯自分の中で楽しめるポイントを見つけて、継続されてきたのですね。
はい、元々、5歳の時に始めて、同世代の子たちもいたんですけど、中学や高校に進学するタイミングで離脱する子も増えてきました。
進学や就職のタイミングで自分もそう考えなくはなかったんですけど、楽しくて止められなくて…!
止めるタイミングもなかったです。
5、6歳の時にバイクのプロになる!って言って続けてきたので、プロクラスにまずは上がりたいよね!って思っていました。
ただ足踏み期間もありましたし、元々すば抜けて成績が良かったわけでもなかったので、生き残りみたいな感じで、国際A級まで上がれた、という感じですね。
自分は時間がかかるタイプなのかな、と思っていて、上手くなるのが早い人がすぐ上に行くんですけど、できなくなって辞めちゃう、とかもありました。
自分は時間がかかるタイプだとわかっていたので粘って続けてきました。
◯瑞生選手の今後のビジョンは?
今はYouTube活動もやっていて、モトクロスだけだと分母が小さくなってしまっていると感じています。
モトクロスは陸上で言うスプリントレースだとしたら、マラソンみたいな競技のレースも出始めていて、モトクロスだけではなくバイクと言う広い括りで自分を知っていってもらえればと思います。
競技をやらないにしても、バイクに乗る人、レースを観る専門の人もいると思っていて、そういった方をモトクロスに呼び込めていければという風に思っています。
コロナの時期に大会がなくなってしまってこのままだとまずいな、と思いYouTube活動も始めていて、いろいろ試しながら模索している最中です。
そのおかげもあってか、自分より成績のいい選手よりも自分の方を知ってくれて、応援してくれる人も増えてきました。
知名度が徐々に上がってきているので、今はやはり成績も出さなきゃと行けないな、と思ってレースに力を入れています。
◯モトクロスをこれから始めたい方へのメッセージをお願いします。
正直ハードルは高いと思います。
僕たちのチームではそのハードルを下げるために習い事レベルで1時間だけのキッズスクールを定期的にやっています。
まずはそこが入り口になるんじゃないかと思います。
ペースは自分のペースでいいと思うので触れて楽しんで欲しい。
やり始めたらとにかく楽しんで欲しいですね。
◯瑞生選手、ありがとうございました!
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