SPECIAL
インタビュー
【NEWSPOインタビュー】フリースタイルノートブック 三浦靖雄さん -前編-
『フリースタイルノートブック』という競技をご存じでしょうか。
なんと、現在競技人口1人!
しかし、実は潜在的なプレーヤーは日本だけでなく世界にも多くいるかもしれない!
各種メディアにも多数取り上げられている、いまアツいこの競技について、創始者の三浦靖雄さんにインタビューをさせていただきました。
2回に渡って実施させていただいたインタビューの様子を、前後編にてお送りします。
これまでにない新しい競技を生み出し、
SNS媒体により世界とつながる可能性も見せているその競技の本質とは!
―こんにちは。本日はよろしくお願いします。
さっそくですが、”フリースタイルノートブック”とその先駆けとなる”カレッジ”をやり始めたきっかけを教えてください。
三浦さん)中学2年だった時、テスト勉強中の息抜きとして始めたことがきっかけです。
当時の人気バラエティ番組で一般の方が参加していた番組の影響がありました。
その番組では、一般公募のなかから選ばれた家族にテレビ局が300万円相当の賞品を家族全員に提供するという企画でした。ただし、その賞品を家族が受け取るためには出題される”宿題”を1週間でマスターして、本番当日はスタジオでクリアすることが条件です。
その番組で最も出題回数が多かったのが、大道芸のひとつ【シガーボックス】でした。 この3つの箱で行うジャグリングに興味を持ち、他のものでもこういうことができるのではないかと思って試し始めたのがきっかけでした。
ボックスの代わりに手にしたのが、学生の必需品のひとつ<カレッジノート>でした。
―ノートといえば、学生の必需品ですよね。
三浦さん)最初のころはノートを落とすことも多かったですが、数日間繰り返し練習しているうちに形になってきました。当時は休み時間になると、ペン回しをする同級生も多かったです。 私はペン回しは全然上手くいかなかったのですが、数日間の練習のおかげでノートブックを回すことは誰よりも成功していました。
披露した当日はクラス内で話題になり「とんでもないものを生み出した」という手ごたえを感じました。
しかし、翌朝クラスに行くと一晩で挫折した人が続出していました。クラス内での話題も長く続かなかったです。
その後も高校、大学、社会人で数回、人前で披露することがありましたが、一緒に取り組むような人は現れませんでしたね。
社会人になってからも休憩時間やお酒の席の余興などで親しい人にだけ披露していました。
そんなこんなで、断続的に行っていたのですが、仕事が落ち着いてきたのでSNSでも投稿してみました。幸いなこ とに2019年のTwitter投稿で評価していただき、拡散されたことで注目していただきました。
―Twitterに投稿していた動画が3万いいね!もついて話題になっていましたね
三浦さん)はい、そうですね。
私が登場する投稿がバズっていたので、動画を観た同僚からも驚かれました。
―インパクトのある技ばかりですが、現在の技はどのようにして誕生したのですか?
三浦さん)技といえるのは、まだ7個しかありません。
そのなかで名前を付けているのは基本技となる「天地返し」だけです。
中学時代に家庭科の授業で習った味噌づくりの工程で行われていた動きとその技の動作がそっくりだったのでその名前にしました。
―余談ですが…古武術の中にもよく似た名前の技があります。その古武道の技とは関係ないと思いますが、動作 がよく似ているのが驚きでした。名前の由来が味噌の工程にあるのもおもしろいですね
三浦さん)そうだったんですね。古武道に同じ名称の技があるとは知らなかったです。そんなつながりもあるのですね。まだ技が多いわけではないので、これから増やしていけたらいいと思います。
―室内だけでなく、温泉地などでも披露しようと思ったのはなぜですか?
三浦さん)技が7個と少なかったからです。
ちょうど温泉地めぐりをしていた時期でもありました。いろいろな場所でやってみたほうが面白い動画になるんじゃないかと思って、温泉地などでもフリースタイルノートブックをやっていました。
―動画での再生数が伸びたことによって、競技人口も増えていますか?
三浦さん)おもしろがる人は多いですが、競技者として本格的に取り組む人はとても少ないですね。
1人で継続する秘訣は、「きれいに回せることがおもしろいから」です。
技術面も集中力も必要になるので、やればやるほど上手くなることを実感することができる。
屋内でも屋外でも大事にしているのは、ノートを回す時の膝の使い方です。膝のクッションを使いノートの動きに体を合わせることを大事にしています。
―競技のことを知ってもらうと同時に、競技者を増やしていくことが当面の目標なのでしょうか?
三浦さん)そうかもしれません。
1人でやるだけでなく、2人目、3人目と継続して競技に取り組む人が増えてくるといいですね。 競技者が増えれば、やれることも増えるし、新しい技もたくさん生まれてくると思います。
学生時代に、フリースタイルノートブック専用のノートを製作してもらおうと、とある玩具メーカーさんに企画案を提出したことがあります。そのときは、アピールできることがないまま終わってしまいました。
―今だったら、Twitterの動画を見てもらうのが一番いいですね。
三浦さん)確かにそうですね。そういう意味でも、これから別業界ともコラボしていけたらと思っています。
元々は普通の文房具屋でも購入できるカレッジノートを使用していました。
社会人になってから使用しているのが「ロルバーン」という有名なメーカーのノートです。 プレーしているときは摩擦が重要になるのですが、フィット感がとてもいいのがこのメーカーさんのノートなんです。
動画で撮ってもわかりやすいように、表紙と背表紙を違う色にしたりしてカラーバリエーションも工夫しています。 競技が普及したときに専用ノートを文房具メーカーなどともコラボできたら、さらにおもしろくなると思っています。
また、文房具つながりということで、渋谷で開催された文房具イベント「文具祭り」で紹介して頂いたこともあります。
最近はほかにもYouTuberの方から連絡があったりして、話題に取り上げてもらえるようになりました。 これからもそういったコラボができると、おもしろいかもしれません。
―20年も継続していて、一番記憶に残っているのはどんなことですか?
三浦さん)衝撃を受けたことと、夢が叶って感動したことがあります。
Twitterの話題になったことで衝撃的な出会いがありました。
「僕もやってました」と連絡があり、同じようにノートや本を自在に操る特技を持つ人に出会いました。
同じ広島県出身の方でした。しかもその方も私と同じで中学生くらいの頃に編み出していたそうです。 ノートの操り方がまったく違うアプローチで生み出されていました。
別流派というか、そちらは「ニュートンボード」と名付けてずっと1人で技を磨いていたそうです。
しかも、その方も東京に住んでいることがわかり、リモートで打ち合わせしたり、駒沢公園で競技のセッションも実 現しました。
その方も小さいお子さんがいて、私ももうすぐ子供が生まれる予定です。
もしかしたら、最年少のフリースタイルノートブック競技者が生まれるかもしれません。
その方も小さいお子さんがいて、私ももうすぐ子供が生まれる予定です。
もしかしたら、最年少のフリースタイルノートブック競技者が生まれるかもしれません。
―SNSなどによるネットの拡散で世界が広がるかもしれないですね。
三浦さん)別の場所で生まれた類似している競技者が出会ったのは、話題性を広げていくことの可能性を感じました。
最近のネットのいいところはその巡り合わせですね。
ヒップホップのサイファーのように音楽を流して技をみんなで繋ぎながら、プレーもしてみたいですね。競技人口が増えたら、フィギュアスケートのように得点で競い合うこともできるかもしれません。
―同じルーツを持つ競技者に出逢えたことは、記憶に残りますね。
三浦さん)実はもうひとつ記憶に残っている嬉しかったことがあります。
実は長い期間、ももいろクローバーZのファンクラブに入っていたんですが、Twitterを見てくれたテレビ局の方からの連絡があり、ももいろクローバーZの皆さんとコラボできたのがとても嬉しかったです。
「ももクロちゃんと。」という番組に取り上げてもらい、一緒にプレーすることができたのです。
憧れの人とのコラボができたのは記憶に残りました。
中学の時の自分に伝えられるなら「継続していたことで、憧れの人と共演できるぞ」ということを伝えたいですね。
―何事も継続し続けるからこそ、その努力が形になったり、様々な縁がつながって面白くなるのですね!
三浦さん)そうですね。
半分諦めかけていましたが…あらためて競技人口も増やしていきたいと思っています。
学生にとっていちばん身近な文房具のひとつ<ノート>が、ヨーヨーのようにマンガで取り上げられて、小学生の間で流行したらおもしろいと思っています。
一般的なアクティビティとして広がっていき、競技人口を増やしていけたら嬉しいです。
私以上に器用な人は大勢います。そういう人達がやり始めると、技が増えたりしてパフォーマンスの基準が上がるんじゃないかと思っています。
アフリカやアメリカとか、すごい奴がいそうじゃないですか。フリースタイルノートブックを通じてそういう人に出逢ってみたい。
―今大事にしていることはなんですか?
三浦さん)手のケアです(笑)
フリースタイルノートブックの一番のシーズンは夏です。
冬は手のひらの油分がなくなるので大変です。現在は、色んなハンドクリームも試しながら年中取り組めるように 工夫しています。
コロナの影響があるのでできることも限られているのですが、撮影以外の練習は家でできます。
世の中的にも、見ているだけでおもしろかったり、すぐに取り組める競技は求められるのではないかと思います。SNSやネットの力で予期せぬ仲間と出会ったり、刺激して高め合う存在と切磋琢磨していきたいですね。
(後編に続く)