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インタビュー

【NEWSPOインタビュー】フリースタイルノートブック 三浦靖雄さん -後編-

最初にインタビューさせて頂いてから、まさかの1年9か月の時を経てのインタビュー。 

前回は、主にフリースタイルノートブックを始めたきっかけや、世に知られるようになった経緯についてお伺いしました。 

今回は、メディアに取り上げられるようになってからの影響や、フリースタイルノートブックの今後のビジョンなどについて、お話を伺いました。 

―「ももクロちゃんと!」とという番組にご出演(*)されて、色んな反響があったと思うんですが、あれから競技人 口などへの影響はいかがでしたか? 

*)参考:https://twitter.com/momoclochanto/status/1326851669309546496?s=20

三浦さん) そうですね、出させてもらったのはフリースタイルノートブックが初めて大きく話題になった2年前で、去年 もまた話題になったりはしたんですが、そのときにももクロファン―僕もそうなんですが―の方からは「モノノフはもう この話題になっているやつ(フリースタイルノートブック)は知っているぞ」みたいなコメントを貰ってすごい嬉しかったですね。 

―そうなんですね。やっぱりモノノフ(ももクロファン)の方たちは、フリースタイルノートブックにはもう既に触れられていて、そこで少し有名になったりしたんですか? 

三浦さん) そうですね、そういう風に言ってもらったことは嬉しかったですし、そこでなぜか、フリースタイルノートブック専用の ノートブックもグッズとして出ました。
(専用ノートブックを見せてくださりながら) 各メンバーの色があるんですけど。 

―え、すごいですね!! 

三浦さん) まあ、番組のグッズですけど。しかもこれ、四隅が完全に留められていて、フリースタイルノートブック専用のノート。誰が買うんだっていう(笑)

まあ、練習するときは僕もノートの端を留めるようにしているんですけど。

本番では別に開いてもいいんですけど、ノートがめくれるとやりにくくなるんで、練習の時はノートの端をテープと かで留めて練習することが多いんです。
練習用のノートとして、ノートとしてのポテンシャルを完全に捨てたノートっていう。 

―ページがめくれる・めくれないでいうと、やりやすさは全然違うものなんですか。 

三浦さん) 本当は、「フリースタイルノートブック」なんで、ノートをノートとして使う技があったほうがいいんですが、現状は無いんで、それが弱点といえば弱点ではあるんです。
ただ、やるぶんには、ノートがめくれると非常にやりにくくなります。 

―なるほど。 

三浦さん) 本番でやるときに(ノートの端を)留めてるとあんまりカッコよくないんであれですけど。 練習の時は必ず留めるようにしてますね。 

使うノートによっても難易度が全然違うんですけど、僕が普段使ってるデルフォニックスのロルバーンていうノートもそうなんですけど、これ(専用ノート)も非常にグリップ力が高い。なかなか落ちない。そういうノートにしてもらってます。普通のノートだと滑って飛んで行きやすい。まあ扱いやすいですね。(ノートとしての)ポテンシャルを 捨ててるだけに(笑) 

―フリースタイルノートブックのためだけに生まれてきたノートですもんね(笑) 

 

―以前にお話をお伺いしたときに、「天地返し」っていう技があるっておっしゃってたじゃないですか。 それ以外に新しい技というか、開発されたこととか、コラボレーションから生まれたことってあったりしましたか? 

三浦さん) もともと、技名も1個しかついてなかったですし、自分がやってる固定の技があったんですけど、何個あるのか数 えたこともなくて、さすがにすごく皆さんに知っていただいて話題にもなったこともあって、新しい技をつくろうと 思って、そのときに改めて数えたら、中2当時に開発した技は7個だったんです。その後、プラス5個、2021年に新 しい技を開発して、今12個、基本的には技があります。 

今まで1人でやってたんで、技名をつける必要性もなかったんで「天地返し」しかつけてなかったんですけど、これ をもって、全ての技に名前を付けました。 

―技名の特徴やのこだわりとか、ありますか?どうしてそうなったか、とか。 

三浦さん) 天地返しの要領で技名をつけると、恥ずかしい技名しか思いつかなかったんで、他の技は「サイドターン」とか 「レッグスルー」とか、カタカナの名前になっています(笑)
あと、「サテライト」とか。 

―レッグスルーはバスケにもありますね。サテライトはどういった技なんですか。 

三浦さん) サテライトっていうのは、体の周りを回す…これもバスケっぽいですね。
それぞれ12個の技も、普段つなげてやっているとどれがどういう技かわからないんで、1個1個の技を解説した動 画も作りました。 

―それはぜひ拝見したいです。

※動画はこちら:
【技名表記ありver.】フリースタイルノートブック2021

―技を開発されて、ますます躍進されていくんだろうと思っているんですが、以前、フリースタイルノートブックと同 じ「ニュートンボード」を広島でされている方がいると伺ったんですが、その方とコラボレートされたりとか、それ以 外でも他の団体さんとコラボされたりとか、あったりするんでしょうか。 

三浦さん) ニュートンボードの方とは去年1回会って、それぞれの技を見せあって、技がひとつも被っていなくて、「こういうノートの扱い方もあるんだ」とかなり刺激を受けました。
日常的に会ったりはしていないですけど、歳も1歳違いくらいで、2人とも娘がいて、お互い子供に自分の技は相伝していくことになるかと(笑) 

一子相伝!いいですね 

三浦さん) 相手の苗字だけは教えるようにして、成長してどっかで会ったときに、子供同士がバトルみたいな感じにできたら と。そんな話はしましたね。 

―そういうお話は個人的には大好きです(笑)
 今後、その交流の動画はYoutubeに上がったりしますか? 

三浦さん) そのときはお互い動画を撮り合っただけでちゃんとは上げてないですけど、こういう取材が来るたびにそういう話はしているんで、いつか2人で対戦するとか機会があったらいいなと思います。 

でも、正直、僕よりもレベル高いんですよね、あっちの方が。だから2人でコラボ動画とか上げたら食われちゃう (笑) 

遠心力と重力を使うって意味では一緒なんですけど、アプローチがまったく違いましたね。 僕は投げ上げてそれを回転させるのがメインなんですけど、その方は手とノートのコンタクトを重視してるという か。 

あと、昨年、はじめてフリースタイルノートブックのワークショップが開催されまして。
代官山の児童館みたいなところで、小学生とか中学生とか高校生とかも遊びに来れるみたいなところで、初めて人に教えるという機会に恵まれ、非常に楽しい時間になりました。 

―そうなんですね、すごい!何名くらい集まったんですか? 

三浦さん) いや。。そんな来てないです(笑) 6,7人くらい。 

―実際に、お子さんからしたら、新鮮なのかなと思います。お子さんだけでなく、親御さんも。
小学校とかで流行ったら面白いですね。 

三浦さん) これを機に、ハイパーヨーヨーみたいになんないかなと思ったんですけど、たぶん代官山ではそうなってないでしょうね。

―(笑)子供たちの間でフリースタイルノートブックがめちゃくちゃ流行って、学校で禁止になるくらいになったら 面白いなと思っちゃいました。 

三浦さん) そうなって欲しかったですけどね。先生から禁止されるみたいな。 

―「四隅留めたノートは校則違反」みたいな(笑) 

―動画も拝見したんですけど、テクニックがすごくてめちゃくちゃかっこいいなと。
さっき娘さんに一子相伝みたいな話もありましたけど、フリースタイルノートブックをどんな人にやってほしいなと か、こう広がってほしいなとか、そういうのはあったりするんでしょうか? 

三浦さん) 僕も始めたのは中学くらいですけど、大人になるとノートってそんなに使うことないですけど、子供の頃はすごく身近なものですし、ペン回しがプロがいたり競技化しているなかで、本当は子供たちのなかで流行る未来があったら素敵だなと思います。(フリースタイルノートブックをやると)ノートは本当にボロボロになるんで、すぐ社会問題になると思いますけど(笑) 

―社会問題になったらある意味「勝ち」ですね(笑) 

三浦さん) そうなんです。やっぱ、『コロコロ』に載りたいですね。 

―それ最高ですね。マンガになって、バトルフリースタイルノートブックみたいになって、『四天王のノート』とか出てきたりして(笑) 

三浦さん) まあ。競技人口は…そんな増えないと思うんで(笑) 

そういう未来は1つの夢としてありつつ、 もう1個楽しみにしているのは、僕が今23年目とかなので、60歳とかになった頃に、年数を重ねていけばいくほど(パフォーマンスが)面白くなると思ってるんで、『観たことあるけどこの人まだやってるんだ』みたいな面白さというか。還暦になったときに自分がどんなノート操りをしてるのか。
今1年に1本ずつ動画を上げるようにしていて、今年も出していくので、どう変わっていくのか、過激な方にいくのか、落ち着いていくのか、その変移を楽しみにしています。 

―そこまで見て、今後フリースタイルノートブックを続けていこうみたいな。 

三浦さん)そうですね、ライフワークとして続けていきたいし、それで面白がってくれる人がいて。スッとできるもんじゃないんで、なかなか皆さん続かないとは思うんですけど、もし1人でも続けてくれる人がいたらとても嬉しいですね。あっという間に越されちゃいそうな気がしますけどね(笑) 

あと、昨年にももクロファンの人に教えてもらったんですけど、岩手の伝統芸能で「鬼剣舞(おにけんばい)」っ ていうのがあるんですけど、その中に「膳舞(ぜんまい)」っていう演目があって。それはお膳を手に乗せたまま 踊るんですけど、それが凄くフリースタイルノートブックに似ているよって教えてもらって、動画見たらめちゃく ちゃ似てるというか、ホントにフリースタイルノートブックの始祖みたいな(笑) 

なので、妻の実家が岩手なんで、膳舞を観に行こうと思って。昨年はコロナでやってなかったんですけど、今年とか来年とかやってたら、膳舞を習うというか、始祖の要素を取り入れたいなと思って。 

※膳舞の動画:
【岩崎鬼剣舞】膳舞(ぜんまい)
ホントに似てます!

―海外でも似ている競技があるのか、というところと、もしあればどういったところを辿っていらっしゃいますか? 

三浦さん)全然知らないです(笑) 

けど、きっとありますよね。 中国とかありそうですよね。 

―ありそうですね。すごいアクロバティックなのがありそう。
 今後、場合によっては海外に広がっていくこともありえるんでしょうか。 

三浦さん) そうですね、そういうことでお互い分かりあえたら素敵ですね。 

―フリースタイルノートブックのパフォーマンスをされるときって、BGMなどは流したりされないんででしょうか? 

三浦さん) 練習のときはやらないですけど、実際に動画出すときは音楽かけてますし、こないだもう一人の方と会った時も、 音楽かけながらお互いに技をして、ノートを渡し合ったりしましたし、音楽との親和性は高いと思いますね。 

本来は競技シーンでは、音楽をかけてその中で技を出して、フィギュアスケートみたいに芸術点を競うっていう形式を考えてます。まだそういう正式な競技はやったことないですけど。 

―動画を拝見しても、そんなに簡単なものには思えないんですが、イチからフリースタイルノートブックを学ぶとい う場合、どれくらいで習得できるものなんでしょうか。 

三浦さん) 天地返しも含め、簡単な技の2、3個はその日のうちにできるようになる人も全然いました。 

僕だとそんなにすぐできてないんで1か月、2か月くらいかかりました。

最初、とっかかりだけクリアしたらあとはトントンとできるようになると思います。 意外に一番最初の天地返しが結構難しいんで、その後はそんなにかからないかも知れないです。 

―最後に、三浦さんから何かありますか? 

三浦さん) フリースタイルノートブックは冬場がシーズンオフで、夏場が一番いいシーズンなんです。 ノートが滑らないのが非常に重要なんで、いまホントにめちゃくちゃイイ季節なんで、やるなら今(※)です。
※このインタビューは7月に実施しました

動画を見たかたからオファーを頂いてもいいように、動画も毎年夏ごろに上げるようにしています。 

―シーズンがあるというのは面白いですね。
 それでは、本日は本当にありがとうございました! 

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まったく別々に日本で同じ競技を編み出した人がいたり、伝統芸能にルーツが見つかったり、思った以上に奥が 深いフリースタイルノートブック。いつか、全国の小中高生がハマって一大ムーブメントになったら面白そうだなと、 お話を伺っていてワクワクするインタビューでした。 

三浦さん、素敵なお話をありがとうございました!