SPECIAL
インタビュー
バレーボールチーム東京スリジエ代表・浅岡さんが語る「デュアルキャリア」とクラブ運営のリアル
選手兼監督兼広報というマルチな立場
――東京スリジエさんの活動について教えてください。
浅岡:シンプルに言えば社会人クラブチームです。週4日、体育館を確保して平日と土日に練習しています。依頼があれば小学校でバレーボール教室をしたり、中学校で活動内容やチームづくりの経緯を授業で話したりすることもあります。将来的には大会などのイベント開催も考えています。
選手は全員、普段は一般企業で働いていて、仕事終わりに夜集まって練習するという形です。
チーム立ち上げの背景
――立ち上げのきっかけは?
浅岡:父が小学校の校長で体育館を確保しやすい環境があったんです。それならチームを作ろうと。スポンサーもなく、まずは人を集めてスタートしました。5年前のことです。
僕自身は以前、Vリーグの東京ヴェルディでプレーしていました。そこで「働きながら競技を続ける」環境を経験し、自分もそんな仕組みを作りたいと思ったんです。
「デュアルキャリア」の理念
――チームの理念についてお聞かせください。
浅岡:バレーのために就職先を選ぶのではなく、自分がやりたい仕事を第一に。その上で競技を生活の一部として続けられる環境を提供する。これが東京スリジエのコンセプトです。
スポンサー企業に就職するスタイルもありますが、うちは「自分で選んだ会社で働く」ことを大切にしています。
監督として大切にしていること
浅岡:練習を頑張っている選手をできるだけ試合で起用したいです。うちはエリートばかりでなく、例えば身長はあるけど全国大会の経験がない、といった選手を受け入れ、育てることもしています。
大学下部リーグ出身の大型選手など“伸びしろ”のある選手には積極的に門戸を開いています。
伸びる選手の共通点は「コツコツ努力できる人」。練習外でも自主的にジムに通うような選手は伸びますね。
SNS発信でフォロワー130万人超え
――SNS広報についても伺いたいです。
浅岡:最初から狙っていたわけではなく、練習や試合の動画をアップすることから始めました。当時は「手の内を晒す」としてタブー視されていましたが、僕らは30代で、もう見られてもいいだろうと(笑)。
それが中高生を中心にニーズがあり、フォロワーが急増。現在は日本で最もフォロワーの多いバレーボールチームになっています。毎日投稿を継続していることも大きいですね。
パートナー企業との関係
スポンサーは選手や家族のつながりが中心です。こちらから営業をかけることは少なく、紹介やSNS経由で自然に広がっています。選手の遠征費などをチームで負担できるよう、スポンサー収入を活用しています。
困難と乗り越え方
課題は「試合登録メンバー14名の選考」です。大人なので理解してくれますが、毎回悩ましいです。
資金面は、立ち上げ時がちょうどコロナ禍でしたが、スポンサーの支援もあり大きな問題はありませんでした。
バレーボールの魅力
団体競技ならではの信頼関係と、年齢を超えて一緒にプレーできる懐の深さですね。小学生から50代まで楽しめるスポーツだと思います。
今後のビジョン
男子は“原石”の選手を育てることに力を入れています。女子は「出産後も続けられる仕組みづくり」を進めたい。子どもを連れて練習できる環境を整えていきたいですね。
Vリーグ昇格もよく聞かれますが、数千万円が必要で、今はそこに魅力を感じていません。それよりも「Vリーグより魅力あるチーム」を作ることが目標です。