1. HOME
  2. 特集
  3. 【NEWSPOインタビュー】バルシューレを取り入れた運動プログラム 福田建次郎さん

SPECIAL

インタビュー

【NEWSPOインタビュー】バルシューレを取り入れた運動プログラム 福田建次郎さん

ドイツでうまれたボール遊び、Ballscule(バルシューレ)。
子どもたちが楽しみながら、運動能力、自発性、社会性などを身につけられるプログラムです。

日本ではまだなじみのないバルシューレを取り入れ、大人も楽しめる運動プログラムを提供している福田建次郎さんに、ご自身の経験と今後の展望について伺いました。

■さっそくですが、バルシューレに出会ったきっかけは?

始めるきっかけは、4年前にサッカーのインストラクターから転職した会社がひとつの事業として、バルシューレを日本に持ってきたことです。
広めていくことになったきっかけは、自分と会社の先輩と3人でスクールをつくったところからでした。

■魅力はなんでしょう?

今日も体験してもらったように、体の使っていない部分を楽しみながら使えます。
いろいろな競技に通ずる動作を楽しみながら体験できることが1番の魅力です。

サッカーでいうボールフィーリング、コーディネーショントレーニングを組み合わせたようなものがバルシューレを使ったプログラムだと思っています。
ボールハンドリング、ボールフィーリングといったトレーニングは、子どもたちにとってはあまり楽しくはないんです。たとえば早く走れるようになる、という目的はあるものの、どうしたらいいかわからないままメニューが進んでいく。

バルシューレを取り入れると、たとえば投げるという動作を自然と楽しく身に着けられるようなメニューをつくっていけることも魅力です。

統計的に、1つのスポーツに絞って練習していた子どもは燃え尽き症候群になりやすいんです。1つのスポーツしかやっていないと、上手くいかなかったり躓いたりしたとき、もっとうまい人が出てきたとき、他に選択肢がなく、やめる、という選択になる子が多い。
ただ、バルシューレをやっていると、頭と体の動かし方を他のスポーツにも応用できます。

■けんじろうさんの過去の経験は今に活きていますか?

小学1年生から大学生、さらに指導者としてもサッカーをやってきました。
学校で言えば運動神経がいい方で、それは色々な遊びをしてきたことが原因だと思っています。
サッカー以外に、野球、バスケ、バレー、水泳も好きでやっていました。正直、やろうと思えば人並にはなんでもできる、というのがサッカーにも生きていました。

バルシューレは、子供のころに遊んでいたことを細分化、理論づけされてできています。
色々なスポーツに触れる、という小さいころからやってきたことがバルシューレにつながっていると思います。

今の子供たちははサッカーならサッカーと1つの競技に絞りがちですが、いろいろな動きをするのがいい、というのを保護者の方にも経験から伝えられます。

■今回はいろいろなメニューを体験させてもらいましたが、もともとメニューを考えることはやってきたんですか?

サッカー時代はキーパーをやっていたんですよ。キーパーは今でこそ指導者がいますが、当時は指導者がおらず自分で考えることを習慣にできました。
それが今にもつながっていて、指導者暦も10年と長くなり、ナチュラルにメニューを考えらるようになりました。

バルシューレの中のメニューにキーパー練習に近い動きやサッカーの練習に近い動きがあるので、つながっているなと今は思います。

■たしかに、今日の体験もキーパーのような動きが多かった気が(笑)

サッカーを例にすると、強豪校は練習ももちろん競技についての勉強もします。
結果、サッカーの技術・知識は向上しますがそれだけになってしまう。運動能力自体は高められていない。
自分は昔から当たり前に色々な遊びをしてきたからこそ、バルシューレの動きがいいものだとわかるんですが、最近はその「当たり前」が無くなってきているように思います。

■バルシューレは、体を動かすだけでなくコミュニケーション面も考慮してつくられていますよね?

そうですね。たとえば今日のメニューの中にはチーム戦のものがありましたが、男女、運動の得意不得意、など色々な人がいることで、声掛けや相手のことを考える、ということができます。
しれっと組み合わせを変えたりしていましたが、実は見ながら考えていました。

団体競技だと、1人が上技術レベルが高くても勝てない、ということがよくあるじゃないですか。
技術がある子が、どうしたらチームで勝てるか考えるきっかけにもなります。

性格も出るので、指導者側からすると意外な一面を知ることもできますね。

■今までに影響を受けた人はいますか?

過去スポーツをやってきて刺激をうけてきたのは、チームメイトや相手チームの選手ですね。
上手い選手がいたとき、その選手にどうやって勝つか、を常に考えていました。
自チームにライバルと呼べる選手がいなかったというのもあり、いつもまわりを見てどうしたら勝てるかを考えていました。

指導者でいうと、面白いなと思ったのは、固定概念がよくない、と気付くきっかけになった京都で指導していた時代の先輩です。

他には、室伏広治選手。体のことをとても勉強されているんです。
100mを速く走るためには、ふつうは脚の回転や腕の振り、といったことを考えると思うんですが、足首や足の甲をやわらかくするらしいんです。
走るときに負荷がかかる場所は毎回変わるため、しっかりやわらかくしてしっかり地面をけられるようにしないといけないんだと。動きの細部まで気にかけているのは面白いなと思いました。

■その成長欲はどこから来るんでしょう。

能力がないからだと思います。
賢さ、学歴、能力があれば、いい企業に入っていい給料もらって楽しくやっていたんじゃないかと思います。
あとは、昔から慣れが嫌いで。自分に刺激を与え続けていたいですね。

■今後やっていきたいことは?

特定のスポーツをやる、となると気構える人、来づらい人もいるじゃないですか。
何人か集まってみんなで一緒に運動する場、出会いの場、運動会、というのは大人に向けてやっていきたいです。

子どもに向けては、自分でサッカーチームをつくりたいので、そこに向けて動いていきたいですね。今バルシューレをやっているからこそ、それを自分の武器にもしていけたらと思います。
サッカーチームも、例えばドリブルに力を入れてます、キーパーに力を入れてます、といった、サッカーに特化したチームはあります。そうではなく、運動能力を伸ばしながらサッカー技術も高める、初心者や運動が苦手な子でも成長していくようなチームですよ、というかたちで作っていきたいです。

■成長過程も見たいんですね。

理論講習を受け、バルシューレを取り入れ、大人どうしで試していいものだとはわかります。それをうけて、実際に子どもがどう反応して変化するか。
知識、資格はたくさんあります。それを実践に落とし込んで、成長が見られることが楽しみです。

他にも、都内では特にですが、ボール禁止の公園が増えて運動しない子どもが増えているじゃないですか。
運動する子どもが増えてくれたらとも思っています。

■最後に、10年後はどうなっていたいですか?

まだ明確には見えていませんが、バルシューレと一緒に楽しく人とかかわったり、出会いの場を提供したり、みんなとかかわりながら何かをやっていきたいです。
自分が楽しく、成長できることを10年後も継続してできていることがベストですね。

継続してやるってなかなか難しいじゃないですか。
結婚して奥さんがいて子どもができたからちょっと難しい、ではなく、続けていける仲間とつくっていける環境があればいいなと。
たとえばサッカーチームをつくったら、家族ができたから誰かに渡す、後任に譲る、ではなく自分で継続したい。
チームの1期生がプロサッカー選手になる、となったらそれはもちろん嬉しいです。でもそうでなくても、その子がどれだけ成長したかを見られたり、やってきて良かったと思ってもらえたり、というところに携われたらと思います。

新スポとも、今のような関係が10年後も続いていたら面白いですよね。
一瞬の関わりって多いじゃないですか。そうではなくて、お互い求めるものを提供しあえる、継続した関係になっていけたら。

継続と成長をし続けている10年後だったらいいなと思います。